アメリカ議会上院は先日、ビットコインETFの可否を判断するSEC(アメリカ証券取引委員会)の新コミッショナー(執行委員)にElad Roisman氏を承認しました。

6月から欠員1名となっていましたが、これでSECのコミッショナー(執行委員)は5名全てが埋まりました。

新コミッショナーであるElad Roisman氏にビットコインETFに好意的と見られており、ビットコインETFが9月30日までに可決される可能性が出てきました。

これまで海外では「ビットコインETFの可決は最短でも2019年2月」というのが最近のコンセンサスとなっており、当サイトにもそういった情報が入ってきていましたが、明らかに情勢が変わってきたと言えそうです。

SECコミッショナー5人の構成とは?

新コミッショナーを加えた現在のSECのコミッショナー5人は下記のようになっています。

【ほぼ中立】
・Jay Clayton氏(トランプ大統領から指名/委員長/共和党) ※ビットコインや仮想通貨に一定の理解

【ビットコインETF肯定派】
・Hester Peirce氏(トランプ大統領から指名/共和党) ※これまでは唯一のビットコインETF肯定派
・Elad Roisman氏(トランプ大統領から指名/共和党) ※新任。直近の発言からビットコインETF肯定派と見られる

【ビットコインETF否定派】
・Robert Jackson氏(トランプ大統領から指名/民主党) ※これまでにビットコインや仮想通貨に肯定的な発言はなし
・Kara Stein氏(オバマ前大統領から指名/民主党) ※ビットコインETF承認拒否を表明。既に任期切れも1年間の延長措置で継続中。2018年12月で再び任期切れ

これまでは肯定派1人、否定派2人、ほぼ中立1人、欠員1人だったため、肯定派と見られるElad Roisman氏の就任により大きく構成が変わっています。

8月の時点で可否の投票した場合、Jay Clayton委員長は否決に回って3対1で否決されると見られていましたが、委員長以外で2対2となった現状ではJay Clayton委員長が可決に回るかもしれないとの見方も出てきています。

SECコミッショナーは2人続けてビットコインETF肯定派、否定派の1人は12月で任期切れ

トランプ大統領から指名されたSECのコミッショナーは4人目となりますが、3人目のHester Peirce氏(共和党)と4人目のElad Roisman氏(共和党)はビットコインETF肯定派と見られています。

また、既にビットコインETF承認拒否を表明しており、最も強固なビットコインETF否定派と見られるKara Stein氏が2018年12月で任期切れ(2017年で任期切れも1年間の延長措置で2018年12月まで継続中)となります。

ただし、Kara Stein氏(民主党)は自身の部下だったAllison Lee氏(民主党)を後任として推挙しており、トランプ大統領もAllison Lee氏を指名すると報じられています。

SECのコミッショナー(執行役員)は大統領が指名し、議会上院が承認する手続きとなっていますが、SECコミッショナーは1つの政党から3名までしか出せないため、Kara Stein氏(民主党)の後任は民主党の人物となります。

委員長以外のコミッショナー4人はビットコインETF肯定派2人、否定派2人と完全に互角

現状では委員長を除くコミッショナー4人はビットコインETF肯定派2人、否定派2人となっています。

しかし、筋金入りのビットコインETF否定派のKara Stein氏(民主党)が2018年12月で任期切れ(2017年で任期切れも1年間の延長措置で2018年12月まで継続中)となるため、Kara Stein氏の発言力や影響力は小さくなっている可能性があります。

後任として指名されると報じられているAllison Lee氏(民主党)はKara Stein氏の元部下で民主党ではありますが、Kara Stein氏ほどビットコインETFに強硬な反対をするかは不透明です。

ビットコインETFの可否はSEC委員長の判断次第!

そこで注目は委員長のJay Clayton氏となってきますが、これまでの発言からビットコインや仮想通貨に対して一定の理解があることが分かります。

これまでは自身を除いた3人のコミッショナーは2対1で否決が優位だったため、9つのビットコインETFを一挙に否決(後に再審査に変更)した際には否決に回って3-1となったようですが、これは「2-2の同数になった場合の手続きが複雑になるため」との見方があります。

このため、ビットコインETF肯定派が2人、否定派が2人となった今では賛成に回るという見方が出てきています。

また、可否の結論を2019年2月まで再延長することも可能ですが、それ以上の延長は出来ずに2019年2月には可否の結論を一旦出さなければならいため、その際には『反対』ではなく『賛成』に回ることが有力視されています。

ですので、9月30日に前倒しで『賛成』することは十分にあり得ると言えるでしょう。

ビットコインETFの可否は事実上、共和党vs民主党の争いに

ビットコインETFの肯定派2人は与党・共和党、否定派2人は野党・民主党ということで、Elad Roisman氏の就任により完全に共和党vs民主党の図式になってきています。

こうなると委員長のJay Clayton氏が気になりますが、トランプ大統領の強力な推薦によりSEC委員長に就任した共和党系となります。

2017年の就任の際には民主党の横槍で色々と苦労したようですが、トランプ大統領など共和党のお陰で何とかSEC委員長に就任できたという経緯があります。

このため、賛否が2対2で委員長の判断次第になるビットコインETFでは民主党側に与するとは考えられず、最終的には他の共和党系コミッショナー2人と共に賛成に回るはずです。

共和党3人が賛成、民主党2人が反対の『3-2で可決』というシナリオが既に出来ているのかもしれません。

あとはそれが今月になるのか、2019年2月になるのか、ということだけですね。

8月の段階では実は否決されそうだったビットコインETF!

なお、欠員枠のSECコミッショナーには8月の段階ではAllison Lee氏(民主党)の就任が有力視されていましたが、結果的にはElad Roisman氏(共和党)が就任しました。

Allison Lee氏(民主党)はKara Stein氏(民主党)の後任として就任する見込みですので、共和党が3人、民主党が2人となります。

ただ、これがElad Roisman氏(共和党)ではなく、当初の報道通りにAllison Lee氏(民主党)が欠員枠のコミッショナーに就任した場合、民主党が3人で共和党が2人となります。

このまま9月30日を迎えた場合、委員長のJay Clayton氏が賛成したとしても3-2で否決となっていました。

反対した場合には4-1と大差での否決ですので、2019年2月を待つまでもなく結論が『否決』となったはずです。

ですが、実際にはElad Roisman氏(共和党)が就任し、ビットコインETFが可決される可能性が高まりました。

この一連の流れを見ると、ビットコインETFの可決に向けて進んでいるとみていいでしょう。

ゴールドマンサックスのフェイクニュースも仕組まれていた?

先日、ゴールドマンサックスのフェイクニュースでビットコインが約13万円も下落しましたが、ビットコインETFの可決が固いと見た大口グループが意図的に仕組んだ可能性もあります。

Elad Roisman氏(共和党)のSECコミッショナー承認という好材料を打ち消すようなニュース&下落でしたので、爆上げ間近のビットコインを安く買いたい大口の仕掛けと見た方が自然です。

SECのJay Clayton委員長はウォール街と密接な関係を持つ人物と言われていますので、ウォール街の周辺では既に『ビットコインETFの可決』が既成事実化しているのかもしれません。

「ビットコインETFの可決は最短でも2019年2月」「早ければ2019年中には可決される」「2018年9月の可決は時期尚早」といった報道が急増していましたが、これ自体がフェイクニュースの可能性もあると言えるでしょう。

ビットコインETFの可決は今月か2019年2月か?

ここまで見てくると、ビットコインETFの可決は今月が有力だと考えられますが、全てはSECのJay Clayton委員長の決断次第と言えます。

委員長を除くと2対2の同数になりますので、そこに配慮して2019年2月まで可否判断を先送りする可能性も当然あります。

また、ビットコインETF否定派の2人が強硬に反対した場合には、やはり2019年2月まで可否判断を先送りする可能性も考えられます。

特に、最強硬派といえるKara Stein氏(民主党)が2018年12月で任期切れとなり、Allison Lee氏(民主党)など他の民主党コミッショナーに代わりますので、2019年2月を待って可決する可能性も低くはありません。

どちらにしても、ビットコインETFの可決は今月か2019年2月かの二択になりつつありますので、冷静に『その時』を待つことが重要と言えるでしょう。